《黒いデカメロン》の一曲目〈戦士のハープ〉が、緊迫した、ほとんど魔術的なほどに広大な2オクターブの跳躍で始まると、 ….(p.394)
キューバの作曲家L.ブローウェル(1939-)の人気曲。一時期、コンクールの自由曲として多くの人が弾いていたので天の邪鬼な私は手をつけていなかった。
ボッカチオのデカメロンのアフリカ版としてドイツの人文学者L.フロベニウス(1873 – 1938 )が書いた「黒いデカメロン」を題材にしている。
5/8という不安定な拍子のなかで不穏なハーモニーのアルペジオと美しいメロディーが絶妙なコントラストを織り成す1曲目「戦士の竪琴」、
谷間に反響する叫び声のようなモチーフ、
反復しながら表情を変えていくモチーフ、
叫び声のモチーフがエコーするなか逃走しているかのような場面
から成る2曲目「こだまの谷を逃げる恋人たち」、
シンコペーションが効いたリズムがアフリカらしさを醸し出す3曲目「恋する乙女のバラード」の3曲からできている。