ゴールデンウィークスペシャル

ティータイムの部、終了しました。

使用した楽器:演奏した曲

マルセル バルベロ イーホ : 魔笛の主題による変奏曲(F.ソル)

フリッツ オベール : 大聖堂(A.バリオス)

ゲイリー サウスウェル : パッサカリア(S.L.ヴァイス)

ジェラルド エスコベド:ラグリマ、アランブラの想い出(F.タレガ)

ジェームズ ウェストブルック:アラビア風奇想曲(F.タレガ)

横尾俊佑:さくらの主題による変奏曲(横尾幸弘)

黒澤哲郎:エチュード(A.ルビラ)

演奏後、皆さん、思い思いに楽器を手にして音色の違いを味わってらっしゃいました!

Spring Concert 2019 ありがとうございました

長崎県の空の玄関口である大村市は大村ギター合奏団の定期演奏会に参加させていただいたりして子供の頃からときどきお邪魔していました。
遊びに連れて行ってくれるお兄さん的存在も居て(今でも大変お世話になっています)、そのかたのご親戚でもある当時の大村ギター合奏団の団長さんの息子さんの同級生がかっちゃんこと中嶋克彦氏。
初対面はお互い高校生だったか、私は大学一年だったか。
「イタリアに留学したいんだ!」と目をキラキラさせて夢を語ってくれました。
そのときに、ギターの伴奏でシューベルトの水車小屋か冬の旅を共演しようと約束しました。

かっちゃんはイタリアのみならずドイツにも留学して、活躍の場を古楽の分野にも広げて押しも押されぬテノール歌手として再会し、あれから20数年経ってちょっとずつ共演する機会ができました。歌声を聞くだけで幸せになります。

かっちゃんとの2回目の共演だったか、大村IC降りてすぐのイル・ロスパッチョというとても美味しいピザ屋さんでのコンサートを企画、そして共演してくださったのがえりつぃんこと村岡恵理子さん。
かっちゃんとは「チャオ!なんとかかんとか〜」とイタリア語で挨拶する仲です。エネルギーに満ち溢れていて少々大変なことも「あはははー」と笑い飛ばしてくれますが、一方で細やかな気遣いでみんなをまとめてくれます。両方の側面がそのまま歌声にも出てきます。

今回はお二人に加えて初共演のきーちゃんこと山口清子さんも。かっちゃんとは東京芸大大学院の同級生で今では奥様です。3月は10数本の本番があったと(嬉しい)悲鳴をあげていたかっちゃんを支えて九州ツアーに同行されましたが、せっかくなので一緒に歌ってもらおうという計画になりました。ドイツに留学されていたので素晴らしい発音でシューベルトを歌っていただきました。

かっちゃんよりも先に清子さんとシューベルトが実現しましたので(アヴェマリアは何度かかっちゃんとしましたが)H.ハウザー1世ウィンナータイプ1916をもって行きました。
持ち主の紫音館の中園さんには今回のかっちゃんの九州ツアーの最初に立ち寄ってもらったすたじおGティータイムコンサートで飛び入りで歌ってもらった時に使って聞いてもらいましたが、すたじおG以外の場所では初めてだと思います。
やっぱり音の出方が違いますので、どんな風になるのかとても興味がありました。ついでにギターソロでJ.K.メルツの愛の歌でも使いました。

一部の最後のモンテヴェルディのポッペアの戴冠のPur ti miroでは本当のご夫婦の愛の二重唱。グラウンドになっている通奏低音を弾きながら横でうっとりしてしまいました。
えりさんとのカッチーニやヘンデルも数字譜で伴奏しましたが、やっぱり古楽、好きだなと思いました(難しいけど)。

かっちゃんとはお得意のイタリアカンツォーネ系で盛り上がりました。

後半は日本物ということで季節柄さくらさくら(清子さん)、中田喜直のさくら横ちょう(えりさん)、別宮貞夫のさくら横ちょう(かっちゃん)、さくらの主題による変奏曲(ギターソロ)と桜尽くし。同じ歌詞なのに作曲家が違うと全く別の世界が展開されるのが面白かったです。中田はやっぱり女声ね、ベックは男の諦めの悪さが出てるね、とか言いながらリハーサルしました。

共演者にもお客様にも会場(大村古賀島キリスト教会)にも恵まれて幸せな時間でした。

リサイタルお礼

3/21橋口武史ギターリサイタルにお越し下さった皆さん、来れなかったけど応援くださった皆さん、どうもありがとうございました。

コンサートの当日は、よく晴れた、空の青さが、忙しなく家を出た人々の口を、一瞬、ぽかんと開けたままにさせるような朝(「マチネの終わりに」 p.393)

ではありませんでしたが、雨も上がり、春の福岡らしい霞がかかった朝でした。

来ていただけるだけで十分ありがたいのに、いろんなプレゼントまでくださった皆さん、重ねてお礼を申し上げます。

生来のギリギリ癖が今回は(も!)かなり皆さんにご迷惑をおかけしてしまいました。
もともとがなかなかヘヴィーなプログラム。
それは最初からわかっていたのだから、早く準備すればいいんですけど、精神状態が落ち着かないような日々もあって、思うように練習ができませんでした。

極め付けは当日皆様にお配りするプログラムの曲目解説を当日の午前5:16に書き上げてる始末。それから妻が自宅にあるエプソンのA3両面プリンタで頑張ってくれましたが、開場時間に間に合いそうにないという事態。思いっきりのいい決断をする娘がコンビニに走ってコピーして来てくれてどうにか間に合いました。受付のお手伝いをお願いしていたすたじおGの生徒さんをヒヤヒヤさせてしまいました。家族をはじめ、生徒さん、いつも支えてくださってる皆さんのおかげでどうにかこうにか開演できました。

構想段階では「あれもしよう、これもしよう」と楽しかったのですが、蓋を開けたら音符と格闘しているだけになってしまいました….

不本意な 演奏を聞かせてしまったのでもう一度チャンスをいただけたらと思っております

ソナタ(L.ブローウェル)





All in Twilightと同じく、ジュリアンブリームのために書かれた。音色の指示(metálico,sul tasto)が細かいところも共通している。全体に引用が効果的に用いられている。1楽章の7小節目に出現するモチーフが曲全体を有機的に結びつけている。



第1楽章 ファンダンゴとボレロ

ファンダンゴもボレロもスペインの舞曲。「黒いデカメロン」にも見られたブローウェルの「増殖の書法」などを経て末尾部で突然《ベートーベンがソレル神父を訪ねる》という文言とともに交響曲第六番「田園」のメロディが引用される。


毎月一度ゲストとして「すたじおGランチタイムコンサート」に来ていただいているギタリスト中野義久氏から、決して突然ではなくファンダンゴのリズムが田園の伴奏形を連想させるところから繋がっているのではないか、との説を授かった。

ソレル神父とはスペインの聖職者、作曲家アントニオ・ソレル(1729~1783)のこと。D.スカルラッティ(1685 – 1757)に師事したと言われ、代表作は「チェンバロのためのファンダンゴ」。

類似したリズムを媒介にした、国も時代も超えた二人の作曲家の邂逅、というブローウェルのユーモア。

第2楽章 スクリャービンのサラバンド

スペイン起源の舞曲、サラバンド(後半のチェロ組曲にも出て来ます)の形を借りたロシアのピアニスト・作曲家アレクサンドル・スクリャービン(1872 – 1915)へのオマージュ。




オスティナート(反復音形)に乗せて幽幻の世界が繰り広げらる。


第3楽章 パスクィーニのトッカータ

ベルナルド・パスクィーニ(1637 – 1710)はイタリア・バロックの教会音楽の作曲家。



弦を摘まみ上げて破裂音を出す「バルトークピチカート」のテクニックや

パスクィーニの代表作「かっこう」のモチーフや

スクリャービンが戻って来たり

最小公倍数の面白さがあったりしながらクライマックスへ向かって疾走していく