ギターの起源について

紫音館所有:プチジャン

音楽が人類に多大な貢献をしてきたことは疑いようのない事実です。
好きな曲を久しぶりに聴くと過去の大切な場面を思い出したり、思わず涙ぐむなどということもよく耳にしますが、それほどまでに音楽は私たちの生活に浸透しています。
ちょっと注意深く聞いてみると、いつも身近で聴こえてくる音楽には様々な楽器が使われています。
その中でもギターの音は想像以上によく耳にします。
今や世界中で愛されている楽器と言っても過言ではありません。
そんなギターですが、一体いつ頃から存在しているのでしょうか。
こちらではギターの起源についてご紹介したいと思います。

ギターの祖先たち

ギターのように指で弦を弾いて音を出す「撥弦楽器」は時を経てさまざまな形、構造、種類に分岐してきました。

諸説ありますが

…..ギターの祖先と言われる弦楽器の中に、ペルシャのササン朝に誕生したと言われるバルバットがあります。ササン朝は、現在のイラクの位置にあったとされる王朝で、226年 から 651年頃まで存在していたと言われています。

バルバットはその後トルコやアラブに伝わり、ウードという楽器に変化し、親しまれるようになりました。
アラビア語でアル・ウードと言われ木の意味を持ち、一説にはウードという単語は、糸や弦楽器やリュートを指すペルシャ語の単語 rud の借用語の可能性があるそうです….

という内容がウィキペディアにあります。しかし「祖先」と言うのであればヒッタイト、バビロニア、エジプトなどの絵画、レリーフなどに撥弦楽器らしいものが見当たります。胴があって、竿があって、弦を張った楽器という意味ではかなり古い歴史がありそうです。「ギター」という楽器については次の次のトピックをお読みください。

リュート

ウードは様々な楽器に変容し、世界の音楽に影響を与えていきました。

すたじおGギター教室 ギターの起源
キタローネ

シルクロードを通って東へ行くと中国のピパや日本の琵琶になり、十字軍の遠征などで西へヨーロッパに伝わるとリュートが誕生しました。

西へ伝わったリュートは、ルネッサンスリュートバロックリュートと言われることからも分かるようにルネッサンス期からバロック期にかけてヨーロッパ各地で興隆しました。

現代のギターは1弦、2弦と数えますが、当時のギターやリュートは響きを増幅させるために同じ音(またはオクターブ違い)を複弦で張って1コース、2コースと数えます。
初期ルネサンスの6コースのものから時代とともに弦の数も増え、14コースバロックリュートやテオルボキタローネなど大型のものは20数本もの弦を持つものまで出てきました。

「リューティストは一生の3分の1を調弦している」と皮肉られたりもしたそうですが、木で出来た糸巻きと、ガット弦のデリケートさ、そして、複弦によるペグの数を思えば、あながち嘘ではないのかもしれません。
(ガット弦とは、第2次世界大戦中にパラシュートの素材としてナイロン繊維が開発されるまで、撥弦楽器の歴史の中で長い間使われていた羊腸から作られた弦です。)

あの大作曲家バッハもリュートのために曲を残すなど、チェンバロとともに重要な楽器としての地位を保っていましたが、バロック音楽の終焉とともにリュートは姿を消して行きました。(リュートは音楽史の中で一旦途切れた後、現代に復活しており、他の多くの古楽器と同じく、現在はたくさんの方に親しまれています。)

ギター

原始的な撥弦楽器からどの時点でリュートとギターとが枝分かれしたのかはっきりとはわかっていませんが、中世13世紀の文献にギターレGitarreという言葉がヴィオラViolaという単語とともに登場しています。

その後、ルネサンス時代には主に和音をかき鳴らして伴奏に用いられ、宣教師たちが大航海の末ハワイに伝えてウクレレに成ったとも言われている4コースのルネサンスギターがありました。

すたじおGギター教室生徒さんのルネッサンスギター

バロックギター
バロックギター

他のヨーロッパ諸国ではリュートが主に用いられたバロック時代のフランスでは国王の趣向で5コースバロックギターが大流行しました。
ルネッサンス・バロック時代の大繁栄ののち姿を消したリュートの傍らでギターは常に人々の身近な存在でしたし、リュートが廃れた後も長い歴史を途切れることなくつないでいます。

この5コースバロックギターに低音弦が追加されて6コースになってから6単弦になったのか、5コースが単弦化されてから6単弦になったのかは定かではありませんが、1700年代の終わり頃には現在と同じ調弦の6単弦ギターが作られるようになりました。代表的な製作家としてフランスのR.ラコート、イギリスのL.パノルモ、ドイツオーストリアのG.シュタウファーが挙げられます。

現在のクラシックギターの構造の基礎はアントニオ・デ ・トーレス(1817-1892、スペイン)が築きました。

今のクラシックギターのボディの大きさや弦長650mmという基準はトーレスが作り、トーレス以前の現在と同じ調弦の6単弦ギターを19世紀ギター、トーレス以後のクラシックギターをモダンギターと呼ぶことがあります。

この他にもギターには様々な歴史がありますので、興味がある方はお調べいただくことをおすすめいたします。クラシック音楽の歴史では音楽史と合わせてギターの歴史もご紹介しています。

紫音館所有:プチジャン レーヌ

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