ホアキン・ロドリーゴ(1901-1999)の代表作は《アランフェスの協奏曲》であることに異論はないと思うが、ギター独奏曲にも傑作が多い。第1回パリ国際ギターコンクール作曲部門で優勝した《祈りと踊り》は私も一時期頻繁に演奏していたし、《小麦畑で》は小学生の時に受けた第32回九州ギター音楽コンクールの本選課題曲だった(魅力がよく分からずに弾いていた)。
小説の中にはソナタジョコーサやトッカータも登場しているが、今回は曲調、演奏時間などを考慮して《パストラル》を選んだ。’97年発表の村治佳織さんのロドリーゴ作品集のアルバムタイトルにもなっている、賛美歌のような美しい旋律と、ところどころスパイスのように効いているロドリーゴ風味の不協和音が特徴の小品。