長崎県の空の玄関口である大村市は大村ギター合奏団の定期演奏会に参加させていただいたりして子供の頃からときどきお邪魔していました。
遊びに連れて行ってくれるお兄さん的存在も居て(今でも大変お世話になっています)、そのかたのご親戚でもある当時の大村ギター合奏団の団長さんの息子さんの同級生がかっちゃんこと中嶋克彦氏。
初対面はお互い高校生だったか、私は大学一年だったか。
「イタリアに留学したいんだ!」と目をキラキラさせて夢を語ってくれました。
そのときに、ギターの伴奏でシューベルトの水車小屋か冬の旅を共演しようと約束しました。
かっちゃんはイタリアのみならずドイツにも留学して、活躍の場を古楽の分野にも広げて押しも押されぬテノール歌手として再会し、あれから20数年経ってちょっとずつ共演する機会ができました。歌声を聞くだけで幸せになります。
かっちゃんとの2回目の共演だったか、大村IC降りてすぐのイル・ロスパッチョというとても美味しいピザ屋さんでのコンサートを企画、そして共演してくださったのがえりつぃんこと村岡恵理子さん。
かっちゃんとは「チャオ!なんとかかんとか〜」とイタリア語で挨拶する仲です。エネルギーに満ち溢れていて少々大変なことも「あはははー」と笑い飛ばしてくれますが、一方で細やかな気遣いでみんなをまとめてくれます。両方の側面がそのまま歌声にも出てきます。
今回はお二人に加えて初共演のきーちゃんこと山口清子さんも。かっちゃんとは東京芸大大学院の同級生で今では奥様です。3月は10数本の本番があったと(嬉しい)悲鳴をあげていたかっちゃんを支えて九州ツアーに同行されましたが、せっかくなので一緒に歌ってもらおうという計画になりました。ドイツに留学されていたので素晴らしい発音でシューベルトを歌っていただきました。
かっちゃんよりも先に清子さんとシューベルトが実現しましたので(アヴェマリアは何度かかっちゃんとしましたが)H.ハウザー1世ウィンナータイプ1916をもって行きました。
持ち主の紫音館の中園さんには今回のかっちゃんの九州ツアーの最初に立ち寄ってもらったすたじおGティータイムコンサートで飛び入りで歌ってもらった時に使って聞いてもらいましたが、すたじおG以外の場所では初めてだと思います。
やっぱり音の出方が違いますので、どんな風になるのかとても興味がありました。ついでにギターソロでJ.K.メルツの愛の歌でも使いました。
一部の最後のモンテヴェルディのポッペアの戴冠のPur ti miroでは本当のご夫婦の愛の二重唱。グラウンドになっている通奏低音を弾きながら横でうっとりしてしまいました。
えりさんとのカッチーニやヘンデルも数字譜で伴奏しましたが、やっぱり古楽、好きだなと思いました(難しいけど)。
かっちゃんとはお得意のイタリアカンツォーネ系で盛り上がりました。
後半は日本物ということで季節柄さくらさくら(清子さん)、中田喜直のさくら横ちょう(えりさん)、別宮貞夫のさくら横ちょう(かっちゃん)、さくらの主題による変奏曲(ギターソロ)と桜尽くし。同じ歌詞なのに作曲家が違うと全く別の世界が展開されるのが面白かったです。中田はやっぱり女声ね、ベックは男の諦めの悪さが出てるね、とか言いながらリハーサルしました。
共演者にもお客様にも会場(大村古賀島キリスト教会)にも恵まれて幸せな時間でした。