クラシック音楽の歴史

すたじおGギター教室 クラシックギターの歴史

子供の頃、ほとんどの方が音楽を学校で習ったことがあると思います。
音楽を授業で習う際には音楽室を利用しますが、そこにはピアノやクラシックギターなど様々な楽器があります。
そして、もう一つ、音楽室といえば教室の壁に貼られた肖像画が思い浮かぶ方もいらっしゃると思います。
ベートーヴェン、バッハ、モーツァルト、シューベルト、ブラームス、チャイコフスキーなどの名前は聞いたことがあるという方が多いでしょう。
彼らは偉大な作曲や編曲や演奏に関わった音楽家であり、皆クラシックの歴史に残る偉人達です。
そして現在も巷に流れるBGMで使われているクラシック音楽の常連でもあります。
音楽の歴史をギター史と並べてご紹介します。

クラシック創世記(中世・ルネサンス・バロック)

中世以前にも人類の歴史の始まりとともに音楽は存在したはずです。

クラシック創世記〜中世 中世以前の音楽を表す文献

エジプトの遺跡にも楽器を演奏している様子が描かれています。
現存する世界最古の楽譜は、紀元前1世紀頃につくられたとされる「セイキロスの墓碑銘」とされています。解読されて演奏も再現されています。

しかしながら、音楽の詳しい研究は中世から語られる事が殆どです。
その理由は中世以前の音楽は楽譜があまり残っておらず体系的な研究が難しいからです。

中世の音楽で最も知られているのは「グレゴリオ聖歌」でしょう。
五線譜のもとになった「ネウマ譜」と呼ばれる四線譜に記譜されています。
作曲者が分からないものがほとんどだと言われています。
グレゴリオ聖歌は、主に9世紀から10世紀にかけてカロリング朝に、ローマとガリアの聖歌を統合したものと考えられています。

中世から文芸復興のルネサンス時代になると、他の芸術とともに音楽も花開きました。
様々な楽器が作られ宮廷でも街でも音楽が楽しまれました。

ルネッサンス時代のギター・リュート系の作曲家では、スペインのビウエラ奏者のルイス・ミラン(1500頃-1561以降?)やルイス・デ・ナルバエス(1500ごろ-1555から1560の間)などが上げられます。
ビウエラとは、スペインでのみわずかな期間に使われた楽器で、形はギターですが、調弦はルネサンスリュートの調弦が用いられました。
この頃にもギターは4コースのルネサンスギターとして存在していましたが、現在では、ビウエラやリュートの曲の方がギターでよく演奏されています。

ルネッサンスからバロックへ向かう時代の曲では、他に「涙のパヴァーヌ」など多くのリュート伴奏歌曲や独奏曲を作曲したイギリスのリューティストジョン・ダウランド(1563-1626)や「カッチーニのアヴェ・マリア」として有名なジュリオ・カッチーニ(1545-1618)などの曲が今日よくコンサートなどで演奏されています。(ただしこの「アヴェ・マリア」は作風からして後世の人がカッチーニの名を借りて作ったものだとする説が有力です。)

フェルメール ギターを弾く女

あまりに複雑になりすぎた後期ルネサンス音楽の反動が、よりわかり易く劇的なバロック音楽の潮流を生みます。クラウディオ・モンテヴェルディ(1567-1643)が初のオペラ「オルフェオ」を上演した1607年を以てバロック時代の幕開けとする考えが一般的です。モンテベルディの曲は他に「聖母マリアの夕べの祈り」などがあります。

この当時のギターは5コースのバロックギターでした。画家フェルメールの作品に描かれているのがそれです。

バロックギターの教則本、曲集である「スペイン式ギターによる音楽指南」の著者ガスパル・サンス(1640-1740)の曲はN.イエペスが抜粋して「スペイン組曲」としてまとめたり、「アランフェス協奏曲」の作曲者、J.ロドリーゴが「ある貴紳のための幻想曲」で素材として用いています。

そして、バロック時代の全盛期、ベルサイユ宮殿を中心に華やかな芸術活動が行われたフランスでは、太陽王ルイ14世に仕えたロベール・ド・ヴィゼがバロックギター(及びリュート,テオルボ)のために数多くの作品を残してしており,フランス映画「禁じられた遊び」の中でその一部が採り上げられています。

作品番号1000を超える宗教曲、世俗曲(バロックリュートのためのものも含む)を残したヨハン・セバスチャン・バッハが古典派への流れに抗うように作曲していた「フーガの技法」を完成させないまま亡くなった1750年でバロック時代は終焉を迎えることになります。
あらゆる楽曲に大きな影響を与えた大作曲家バッハの時代にも、バロックギターは存在していましたが、バッハの国ドイツではあまり使われていませんでした。リュート(またはリュートの音色を出すためにガット弦を張ったチェンバロ、ラウテンベルク)のためにはバッハが作品を書いているため、当時のサウンドを追求するならリュートで演奏してみるのも解決方法の一つです。

(ギターの歴史についてはギターの起源についてでもご紹介しています。)

クラシック全盛期

バロック時代に続く古典派の時代、ロマン派時代、近代国民楽派などの時代には、私たちに馴染みのある有名な作曲家は大幅に増えました。「クラシック音楽」と言った時に一般的に想像されるのはこの時代の音楽だと思います。クラシックという言葉は厳密には古典派のことを指します。

多くの交響曲を残したJ.ハイドン(1732-1809)、
作曲を始めたのは5歳の時で、ほぼすべてのジャンルに名曲を残し、天才と言われたW.A.モーツァルト(1756-1791)、
難聴に悩まされながらも、生涯を通して名曲を残したL.ベートーヴェン(1770-1827)、
歌曲王、F.シューベルト(1797-1828)、
多くのピアノ曲を書いたF.ショパン(1810-1849)
他、ここには上げられないほどたくさんの著名な作曲家が活躍しました。

古典派の時代にバロックギターの5コース複弦から現在のギターと同じ6単弦の調弦になりました。この時代のギターは19世紀ギターと呼ばれ、楽譜を手直しすることなく現代のギターでそのまま演奏できますので今日でも愛奏されている作品がたくさんあります。

クラシックギタリスト

古典派以降で著名なギタリストを2人だけ挙げるとすればF.ソルとF.タレガでしょう。

フェルナンド・ソル(1778-1839)はスペイン・バルセロナ生まれの作曲家、ギター奏者で、それまでクラシック音楽界ではあまり認められていなかったギターの音楽レベルを可能な限り高め、ギターを世に広める努力をしたギターの偉人です。
コンサート楽器としてのギターのための曲を最も多く書いた作曲家の一人でもあります。

名曲「アルハンブラの想い出」の作曲者であるスペインのロマン派のギタリスト、フランシスコ・タレガ(1852- 1909)は「近代ギター音楽の父」とも呼ばれ現代のギター音楽の基礎を作った人物です。

二人の他に、スペイン生まれでパリで活躍したディオニシオ・アグアド(1784-1849)というギタリストもいます。F.ソルは同郷のギタリストであるアグアドとデュオを楽しむために「二人の友 Les deux amis」という曲を作りました。アグアドはソルが作曲した「序奏とアレグロ(グランソロ)Op.14」に加筆してより華やかな曲に仕立てました。このように故郷を離れてパリで活動する二人は友情を深めたのでした。

イタリア出身のマウロ・ジュリアーニ(1781-1829)は音楽の都ウィーンで華々しい音楽活動をしました。ベートーベンとも知り合いでしたし、他の楽器の演奏家と共演するために多くのアンサンブル曲を書いています。

12年間で300曲を超える曲を残しパリなどで活躍したギタリスト、フェルディナンド・カルッリ(1770-1841)や、カルッリと同年代に同じくパリで活躍したマッテオ・カルカッシ(1792-1853)も私たちがギターを学ぶ際にソルやタレガと並んで練習する曲が多いギタリスト兼作曲家です。カルカッシは足台を使って弾くスタイルを考案し、練習の仕方を教則本として体系化して世に広めました。

クラシック音楽が与えた影響は、このビッグネーム達から垣間見ても計り知れないものがあります。
CDを手に入れて耳にすることもできますが、最近では、音源のダウンロードもできるようになり音楽がより身近になりました。今から500年以上前の中世の音楽も私たちは聴いたり、演奏したりできるのです。

そして、21世紀。音楽は多様化し、ジャンルはボーダーレスと言われています。
ギターもフォークギターやエレキギターなどそのジャンルに適した形を求めるものも現れ、同じクラシックギターでも違うジャンルや演奏スタイルででも幅広く活躍しています。クラシックギターを使う音楽ジャンルでは、その一部をご紹介しています。

すたじおGではクラシックギターレッスンの他、ご紹介したギターの名曲やその他の数々の曲を生演奏でお届けするコンサートの企画運営もしております。他にもクラシックギターに関することが沢山学べます。